家族信託における信託内借り入れとは?

 昨日私が役員を務める広島県相続診断士会で、家族信託の事例発表をさせていただきました。その中で信託内借り入れの話をしました。家族信託における信託内借り入れとは、例えば父親(委託者)の使っていない土地を信託財産として信託契約を長男(受託者)と結び、その土地を担保にして受託者が債務者として金融機関から借り入れを起こし、賃貸アパートを土地の上に立てていく。この時の建築資金などに借り入れをした金銭を充てていく。この借り入れのことを信託内借り入れを専門家の間では呼んだりする。家族信託をそれなりに勉強したことがある方や普段から担保権設定登記に関与する司法書士なら聞いたことがあると思う。

 実はこの信託内借り入れはかなり高度な知識がないとできない、超難易度の高いものである。おそらく司法書士でも手掛けたことがある方はほとんどいないぐらいのものである。ではなぜ難しいのか。事例がほとんどないからである。しかし、今後は必ずお客様のニーズとしては発生するものだと思う。ご高齢になり、判断能力がなくなった土地の所有者は借り入れをできない。そして当然土地の上に建物は建てられない。土地の売却もできない。すると固定資産税だけを払い続けないといけない負動産になってしまう。判断能力が亡くなる前に家族信託をすることで、土地を有効活用できる可能性を残して次世代の相続人たちに引き継いでいける。当事務所で推奨する家族信託という制度は実にすばらしい制度である。本日はこれまで。