危険な相続①(子供のいない家庭)

 今回より、何回かに分けて「危険な相続」特集をやろうと思う。つまり、このような家庭は特に相続対策が必要と私が思うケースを紹介していこうと思う。最近相続に関する相談がますます増えてきているような気がする。そして特に相続対策をしていなかったためかなり困難になってしまった事例である。

 まずは、子供のいない家庭は特に相続対策をしておく必要がある。なぜ子供のいない家庭は相続対策が必要なのか。相続の実務に携わっている者なら子供のいない相続手続きがいかに大変かがすぐにわかると思う。まずは子供のいない家庭で、夫A、妻B、夫には兄弟姉妹が5人、妻にも兄弟姉妹が5人いるケースで考えてみよう。

 ①夫が亡くなった時の相続人は誰か?妻B、夫の兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合はその子。つまり甥、姪にあたる者)である。すると相続人は何人になるのか。場合によっては10人近くになるのではないか。

 ②夫が亡くなった時は、夫の兄弟姉妹は皆元気なのか?すでに亡くなっているものもあれば、認知症などで寝たきりの者もいる。

 ③夫が亡くなった時の相続人全員に連絡が取れるのか?

 ④夫が亡くなった時の相続人全員との関係は良好なのか?

 などと、考えればきりのないくらいの問題点が出てくる。相続手続きをしようと思ったら原則、相続人全員で遺産分割協議をする必要がある。そう、相続人全員である。私は考えただけでもぞっとするようなケースである。

 もし子供のいない家庭にご自身があてはまるなら、すぐに相続対策をすることをお勧めします。できれば相続に詳しい専門家と一緒にすることをお勧めします。本日はこれまで。